本稿は、バクスター順列に出現する漸近正規性に関する研究論文である。バクスター順列とは、Glen Baxterが1964年に可換関数の合成の不動点を研究する中で導入した順列の一種である。本稿では、精緻化されたバクスター数Dn,kが、平均n/2、分散n/12の正規分布に漸近的に従うことを証明する。
バクスター順列は、組合せ論において重要な研究対象であり、様々な組合せ論的対象と関連付けられている。例えば、バクスター数は、Malvenuto-Reutenauer Hopf代数の部分代数の基底、n個のノードを持つ双子の二分木のペア、n×nグリッドの対角長方形分割などを数え上げる。また、精緻化されたバクスター数Dn,kは、k-1回の降順とn-k回の昇順を持つnのバクスター順列、k個の左の葉とn-k+1個の右の葉を持つ双子の二分木のペア、k+1個の面とn-k+2個の頂点を持つ平面双極子配向などを数え上げる。
本稿では、Benderによる十分条件を用いて、精緻化されたバクスター数Dn,kの漸近正規性を証明する。証明の中で、Bnと関連する数の計算が重要となるが、Bnは閉じた形を持たないため、計算が困難になる。この問題に対処するために、線形漸化式の解の漸近解析の手法を用いる。証明は半自動化されており、すべての漸近展開と漸化式は、記号計算パッケージを用いて証明されている。
本稿の主結果は、精緻化されたバクスター数Dn,kが、平均n/2、分散n/12の正規分布に漸近的に従うことを示した点である。
本稿の結果は、バクスター順列の組合せ論的性質を理解する上で重要な貢献をするものである。また、本稿で用いられた漸近解析の手法は、他の組合せ論的問題にも応用できる可能性がある。
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