ビッグバン直後に物質と反物質が等量生成されたという説は広く受け入れられているが、今日の宇宙は反物質をはるかに凌駕する物質で満たされている。この謎は、自然界における重大な対称性の破れに関連しており、原子核物理学と素粒子物理学における課題として残されている。
現代の加速器を用いた高エネルギー重イオン衝突(HIC)は、初期宇宙に類似した条件を作り出す。反物質の生成が確認されたことで、フェムト秒スケールでの物質と反物質の空間発展と分離の研究が可能になった。この研究には、ハッブル-ブラウンとトウィスがシリウスの角半径を検出するために発明したHBT強度干渉法が応用されている。HBT干渉法は、原子核物理学において、HICで生成されるエミッションソースの時間的・空間的特徴を、放出された粒子対相関関数(CF)を測定することで抽出するために広く応用されてきた。基本的な描像では、CFはソースから放出された粒子対間の低エネルギー散乱の結果であり、対間の相互作用の強さの情報を担っている。
従来のCF解析ではガウス分布が広く採用されてきたが、この仮定は衝突系の初期状態と発展の詳細が失われるため、最近の研究では不利であることが指摘されている。そこで本稿では、ガウス分布を仮定しないソースの直接イメージングを実現した。
本稿では、光学イメージング用に開発されたリチャードソン・ルーシー(RL)アルゴリズムと、粒子対間の相互作用を組み込んだレドニッキー-リュボシッツ(LL)モデルを組み合わせることで、実験的なCFからソースイメージングの逆問題を解決する手法を実装した。
この手法をRHICのSTARコラボレーションによって測定された、重心系エネルギー200 GeVのAu+Au衝突におけるppおよび¯p¯pのCFに適用した結果、陽子と反陽子は凍結アウト時に同一のソース分布を共有することが明らかになった。これは、高エネルギーHICで生成され進化する際に、物質と反物質が座標空間において対称性を持つことを示す証拠である。さらに、再構成されたソース関数のプロファイルは、陽子と反陽子の両方においてガウス分布とは異なることがわかった。これは、衝突が非常に高速であるため、衝突する原子核の空間情報が部分的に保持されていることを示唆している。
本稿で開発された新しい手法は、フェムト秒スケールの重イオン衝突をイメージングし、地上の実験室で物質と反物質の物理を探求するための重要な進歩である。
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