核心概念
本稿では、ヘリカル対称実験(HSX)におけるレジリエントダイバータの特性について、特に開いたカオス的なエッジ構造との関連性を調査し、様々なプラズマ平衡においても熱負荷や粒子束の堆積パターンが変化しにくいロバストなダイバータ設計の可能性を示唆しています。
要約
ヘリカル対称実験におけるレジリエントステラレータダイバータ特性
研究の背景と目的
核融合発電の実現に向けた研究開発が進められる中、プラズマ閉じ込めのために重要な役割を果たすダイバータの設計は大きな課題となっています。本研究では、ヘリカル対称実験(HSX)装置を用いて、レジリエントダイバータ(NRD)と呼ばれる新しいタイプのダイバータの特性を調査しました。NRDは、プラズマの平衡状態が変化しても熱負荷や粒子束の堆積パターンが変化しにくいという特性を持つことが期待されています。
研究方法
本研究では、磁場構造解析コードFLAREを用いて、HSXプラズマのエッジ領域における磁力線の挙動を詳細に解析しました。具体的には、4種類の異なる磁場配位(QHS、小島、大島、TEM)について、磁力線の接続長(LC)と最小半径方向接続長(min(δN))を計算し、それらの分布を比較しました。
研究結果
- 4種類の磁場配位全てにおいて、プラズマ対向機器(PFC)近傍で定性的に非常に類似した磁気フットプリントと半径方向接続パターンが観察されました。これは、HSXにおけるロバストなエッジ磁力線挙動を示唆するものであり、先行研究の結果とも一致しています。
- LCとmin(δN)の関係を解析した結果、PFC近傍に大きな磁気島が存在する場合、他のケースとは異なるPWIを示すことが明らかになりました。
- LCが大きくなるにつれてmin(δN)が約10^-2mで頭打ちになる磁力線は、エッジ磁気島の中に存在する傾向が見られました。一方、べき乗則に従う磁力線はセパラトリックス近傍に位置し、非常に長いLCと非常に小さいmin(δN)を併せ持つことから、カントーリとの相互作用によってLCFSまたはセパラトリックスの近くに留まっている可能性が示唆されました。
結論
本研究の結果、HSXにおけるNRDのロバスト性が確認され、min(δN)を用いることで、異なる磁場配位におけるPWIの違いを定量的に評価できることが示されました。また、LCとmin(δN)の関係から、エッジ磁気島の有無がPWIに大きな影響を与えることが明らかになりました。
今後の展望
本研究では、磁力線の挙動解析に焦点を当ててNRDの特性を評価しましたが、今後の研究では、ダイバータ性能のシミュレーションを行い、より詳細な評価を行う必要があります。
統計
HSXは、マイナー半径a = 0.12 m、メジャー半径R = 1.2 m、アスペクト比R/a = 10の4磁場周期ステラレータです。
各方向最大1kmのLCに対して計算が行われ、壁に当たらない閉じ込められた磁力線は最大LC = 2kmとなります。
壁近傍の磁力線を1kmまたは壁に当たるまで追跡することで、磁気フットプリントが計算されます。
min(δN) < 10^-2mの2つの最小値は、図7(c)ではLC ∼10^2mの非常に長い接続長の領域外に現れます。
引用
「本稿では、ヘリカル対称実験(HSX)におけるレジリエントダイバータの特性について、特に開いたカオス的なエッジ構造との関連性を調査します。」
「この研究で検討された磁気構成は、PFCの近くで定性的に非常に類似した磁気フットプリントと半径方向接続パターンをもたらします。」
「LCとmin(δN)の関係を解析した結果、PFC近傍に大きな磁気島が存在する場合、他のケースとは異なるPWIを示すことが明らかになりました。」