核心概念
本稿では、株式や金利のハイブリッド商品、および確率的なドリフトやボラティリティを持つ資産を含む、広範なオプションを単一または複数の資産で価格付けするための、一般的かつ効率的なハイブリッド数値計算手法であるODgridを提案する。
要約
ODgridの概要
本稿では、様々なオプション価格決定問題に対処できる汎用的なハイブリッド数値計算手法であるODgridを紹介する。この手法は、従来の trinomial tree と固定グリッドベースの偏微分方程式(PDE)解法の利点を組み合わせたものである。
ODgridの仕組み
ODgridは、まず時間と空間を離散化し、オプションの満期時におけるペイオフを定義する。その後、時間的に遡りながら、各時点におけるオプション価格を計算する。この計算には、将来時点におけるオプション価格を補間する必要があるが、ODgridではAkima、M3-A、Stinemanなどの単調キュービック補間を用いることで、滑らかで安定した結果を得ている。
ODgridの利点
ODgridは、以下のような利点を持つ。
- 汎用性が高い:様々なドリフトやボラティリティの設定、複数資産や確率的なドリフト・ボラティリティを持つ資産にも対応可能。
- 実装が容易:確率が一定であるため、実装が容易である。
- 滑らかで安定した結果:単調キュービック補間を用いることで、滑らかで安定した結果を得ることができる。
- 計算速度が速い:trinomial tree やPDE解法と比較して、計算速度が速い。
- 様々な確率測度の利用:同一グリッド上で、前進方向と後退方向の両方の計算が可能であるため、様々な確率測度の利用が可能である。
ODgridの適用例
本稿では、ローカルボラティリティ、確率金利、確率ボラティリティ、一般化ローカルボラティリティなど、様々なオプション価格決定問題に対するODgridの適用例を示す。各例において、ODgridは正確かつ効率的にオプション価格を計算できることを示す。
ODgridの限界と今後の展望
ODgridは強力な手法であるが、高次元問題には次元災いの問題がある。ただし、準乱数や高次元補間を用いることで、この問題に対処できる可能性がある。
結論
ODgridは、広範なオプション価格決定問題に対して、正確かつ効率的な価格計算を可能にする汎用性の高い手法である。
統計
グリッドの細かさを0.50、時間ステップ数を100とした場合、市場インプライドボラティリティとODgridで計算したオプションプレミアムから導出されたボラティリティの差異は、様々なストライクと満期において最大0.05%であった。
満期1年、ストライク80、100、120、グリッドの細かさを0.5、時間ステップ数を12とした場合、モンテカルロ法とODgridで計算したバスケットコールオプション、ベストオブコールオプション、スプレッドコールオプションのプレミアムの差異は最大0.04であった。
満期1年、ストライク80、100、120、グリッドの細かさを0.20、時間ステップ数を12とした場合、モンテカルロ法とODgridで計算した3資産のバスケットコールオプションとベストオブコールオプションのプレミアムの差異は最大0.10であった。
株式のグリッドの細かさを0.50、金利のグリッドの細かさを0.50、時間ステップ数を50とした場合、市場インプライドボラティリティとODgridで計算したオプションプレミアムから導出されたボラティリティの差異は、様々なストライクと満期において最大0.09%であった。
満期1年、グリッドの細かさを株式とボラティリティともに1.0、時間ステップ数を50とした場合、モンテカルロ法とODgridで計算したコールオプションのプレミアムの差異は、最大0.04であった。
引用
"ODgrid relies on the use of a Monotone Cubic interpolation."
"Since the core algorithm is simple, we have to focus on two points : ... Setting up the grid ... Interpolating quickly and correctly"
"The ODgrid method consists in interpolating the corresponding values from a known grid"
"It is worth pointing out that, like in any numerical method, it comes down to a speed / accuracy trade-off."