核心概念
本稿では、ランク28のユニモジュラー格子のアイソメトリクラスと、ノルム2以下の非ゼロベクトルを持たないランク29のユニモジュラー格子のアイソメトリクラスを決定する。
要約
ユニモジュラー格子: ランク28と29の場合の分類
本稿は、[Che24]で提唱されたアイデアに基づき、ランク28のユニモジュラー格子のアイソメトリクラスと、ノルム2以下の非ゼロベクトルを持たないランク29のユニモジュラー格子のアイソメトリクラスを決定する。
研究の背景
ユニモジュラー格子は、数学、特に数論や格子理論において重要な研究対象である。低ランクのユニモジュラー格子の分類は、歴史的に多くの数学者によって研究されてきた。近年、[Che24]において、ランク26と27のユニモジュラー格子の分類が行われた。本稿では、この研究をさらに発展させ、ランク28と29の場合の分類を行う。
研究手法
本稿では、[Che24]で開発された手法を基に、以下の手順で分類を行う。
標準格子Inの巡回クネーザーd-近傍を、d = 2, 3, ... と系統的に調べる。
格子を区別するために十分に細かく、かつ計算が高速な不変量を用いる。本稿では、Bacher-Venkov不変量(BV不変量)と呼ばれる不変量を導入する。
Kingの結果[Kin03]を用いて、ルート系に従って格子を分割する。
可視ルート系を用いて探索を偏らせる。
質量の小さい格子に対しては、ケースバイケースでより具体的な方法を用いる。
研究結果
本稿では、以下の結果を得た。
ランク28のユニモジュラー格子のアイソメトリクラスは374062個存在する。
ノルム2以下の非ゼロベクトルを持たないランク29のユニモジュラー格子のアイソメトリクラスは10092個存在する。
これらのアイソメトリクラスの代表元は、標準格子Inの巡回d-近傍として与えられる。
研究の意義
本稿の結果は、高ランクのユニモジュラー格子の分類に大きく貢献するものである。また、本稿で開発された手法は、他の数学的問題にも応用可能であると考えられる。
本稿では、ランク28と29の場合の分類を行ったが、より高ランクの場合の分類は今後の課題である。また、本稿で導入したBV不変量の理論的な解明も今後の課題である。