核心概念
RaBItは、従来の設計の欠点であったバスケット間のサンプルサイズと効果量の均一性を仮定せず、より柔軟で効率的な臨床試験デザインを提供する。
要約
中間解析を伴うランダム化バスケット試験(RaBIt)とそのメンタルヘルスへの応用
参考文献: Patel, S. S., Chen, D. Z., & Ma, C. (2024). Randomized Basket Trial with an Interim Analysis (RaBIt) and Applications in Mental Health. arXiv preprint arXiv:2411.13692.
研究目的: 本研究は、従来のバスケット試験設計の制限を克服する、中間解析を伴うランダム化バスケット試験(RaBIt)と呼ばれる新しい統計的手法を提案する。従来の設計では、すべてのバスケット(疾患サブグループ)でサンプルサイズと効果量が等しいと仮定していたが、これは現実的ではない場合が多い。
方法: RaBItは、中間段階での非有効バスケットの選定(pruning)と、残りのバスケットのプール分析を特徴とする。中間解析では、事前に指定された有意水準を用いて、各バスケットにおける治療効果を評価する。効果が認められないバスケットは試験から除外され、残りのバスケットのデータがプールされて最終的な分析が行われる。
重要な結果: RaBItは、バスケットごとに異なるサンプルサイズと効果量を考慮することで、従来の設計よりも柔軟性と効率性を向上させる。シミュレーション研究の結果、RaBItは、特に各バスケットの発生率が異なる場合に、試験期間を大幅に短縮できることが示された。
主な結論: RaBItは、単一の治療法を複数の疾患に対して同時に評価するための効率的かつ強力な方法である。この設計は、メンタルヘルスを含む、共通の生物学的経路を共有する疾患の研究に特に有用である。
重要性: RaBItは、バスケット試験設計の重要な進歩であり、新規治療法の開発を加速する可能性を秘めている。
制限と今後の研究: 本研究では、特定のエンドポイントとサンプルサイズ再割り当て戦略に焦点を当てた。異なるエンドポイントや再割り当て戦略がRaBItの性能に与える影響を調査するには、さらなる研究が必要である。
統計
3つのバスケット(BDD、OCD、AN)で構成される試験において、各バスケットへの参加者の割合を、それぞれの予想される発生率( accrual rate)に比例するように設定した場合(p = (0.2, 0.4, 0.4))、効果量0.5、サンプルサイズ150人で、目標とする検出力87%を達成した上で、試験期間を大幅に短縮できる可能性が示された。