核心概念
有理数の立方数の和として表せない立方数ではない自然数 $n$ が、$\mathbb{Q}$ の円分 $\mathbb{Z}_p$ 拡大体の元 $x$, $y$ を用いて $n = x^3 + y^3$ と表せる場合について考察する。
要約
円分 $\mathbb{Z}_p$ 拡大における 2 つの立方数の和で表される整数 概要
本論文は、特定の条件下において、有理数の立方数の和として表せない自然数が、$\mathbb{Q}$ の円分 $\mathbb{Z}_p$ 拡大体の元を用いても立方数の和として表せないことを示している。
自然数 $n$ が与えられたとき、$n$ が 2 つの有理数の $k$ 乗数の和として表せるかという問題は、数論における古典的な問題である。$k=2$ の場合はオイラーによって完全に解決されており、$n$ が 2 つの有理数の平方の和として表せることと、2 つの整数の平方の和として表せることは同値であることが知られている。一方、$k \ge 3$ の場合は、$n$ が 2 つの整数の $k$ 乗数の和として表せなくても、2 つの有理数の $k$ 乗数の和として表せる場合がある。本論文では、$n$ が 2 つの有理数の立方数の和として表せない場合に、$\mathbb{Q}$ の代数拡大体 $L$ の元を用いても $n$ が立方数の和として表せない条件について考察する。
本論文では、岩澤理論の手法を用いて、楕円曲線 $E_n: x^3 + y^3 = nz^3$ のセルマー群の構造を解析することで、$n$ が $\mathbb{Q}$ の円分 $\mathbb{Z}_p$ 拡大体の元を用いて立方数の和として表せるかどうかを判定する。