核心概念
本稿では、動径方向への乗法的メトロポリス・ヘイスティングス更新を導入することで、ハイブリッドモンテカルロ(HMC)法のエルゴード性問題を効果的に解決できることを示しています。
要約
ハイブリッドモンテカルロ法におけるエルゴード性問題と動径更新による解決策
本稿は、第41回格子場理論国際シンポジウム(LATTICE2024)でFinn Temmen氏によって発表された、ハイブリッドモンテカルロ(HMC)法におけるエルゴード性問題とその解決策に関する研究論文です。
HMC法は、格子場の理論におけるシミュレーションに広く用いられる手法ですが、大きな、あるいは無限大のポテンシャル障壁が存在する場合、その適用が困難になることがあります。これらのポテンシャル障壁は、配置空間を異なるセクターに分割し、アルゴリズムのエルゴード性の破れや観測量の測定の偏りをもたらします。
本研究は、HMC法に動径更新を導入することで、ポテンシャル障壁によるエルゴード性問題を解決することを目的としています。動径更新とは、場の動径方向に乗法的メトロポリス・ヘイスティングス(MH)更新を適用することで、比較的低い計算コストでポテンシャル障壁を飛び越えることを可能にする手法です。