核心概念
本稿では、単一モード導波路と広導波路間のモード変換をコンパクトかつ高効率に行う、逆設計されたLテーパと呼ばれる新規光導波路テーパ設計について述べています。
要約
論文概要
本論文は、単一モード導波路と広導波路間のコンパクトな変換を実現する、逆設計テーパに関する研究論文である。
背景と課題
- 高アスペクト比の光導波路は、低損失ルーティング、マルチモードフォトニクス、面外伝送など、様々な集積フォトニクスアプリケーションにおいて重要な役割を担っている。
- 一方、単一モード集積フォトニクスは、高いデバイス密度とゼロモード分散などの利点がある。
- これらの利点を統合したプラットフォームを実現するためには、単一モード導波路と高アスペクト比導波路を相互接続するテーパが必要となる。
- 従来のアジアビットテーパは、数百ミクロンの長さが必要であり、デバイスのパッキング密度とスケーラビリティが制限されるという課題があった。
提案手法:逆設計Lテーパ
- 本論文では、入力導波路と出力導波路を90度回転させた、逆設計テーパによる新しいアプローチを提案している。
- この構造は、Lテーパと呼ばれ、垂直回折格子結合器に似た形状を持つ。
- しかし、非対称な積層構造に依存する回折格子結合器とは異なり、Lテーパは数千または数百万のボクセルを利用して、単一モード導波路から平面内の広導波路へ光を導く。
Lテーパの利点
- コンパクトなフットプリント:従来の逆設計テーパよりも大幅に小型化が可能。
- 高い結合効率:ほぼ1に近い透過率を実現。
- 広帯域性:数十ナノメートルの帯域幅を持つ。
- 様々な材料プラットフォームへの適用可能性。
- ロバストな最適化技術との互換性。
実験結果
- 220nmのシリコンオンインシュレータ(SOI)プロセスを用いて、0.5μm導波路を12μm導波路に変換するLテーパを設計。
- 設計されたLテーパは、16μm×6μmのフットプリントで、-0.38dBの最大結合効率と40nmの1dB帯域幅を達成。
- これは、同等の結合効率を持つ100μmのリニアテーパと比較して、フットプリントを12分の1に縮小できることを示している。
結論
- 本論文で提案された逆設計Lテーパは、従来のリニアテーパに比べて、大幅なフットプリントの縮小と高い結合効率を実現する。
- この技術は、高密度な集積フォトニクスシステムの開発に大きく貢献すると期待される。
今後の展望
- 今後の研究として、回転角度を90度未満にすることで、更なる性能向上が期待される。
- また、特定の高次モードや任意の位相プロファイルを励起するように設計したり、対称性を利用して高次モード励起を抑制したりするなど、様々な応用が考えられる。
統計
Lテーパは、16 µm × 6 µmのフットプリントで、-0.38 dBの最大結合効率と40 nmの1 dB帯域幅を達成した。
これは、同等の結合効率を持つ100 µmのリニアテーパと比較して、フットプリントを12分の1に縮小できることを示している。
設計されたLテーパは、1545 nmで約25 dBの最高のMSRを示し、設計帯域(1540 nm〜1560 nm)では14 dBを超える。
引用
"The resultant geometry, herein called an L-taper, is shown to produce near-unity transmission with ultra-compact footprint."
"The L-taper can convert from a single-mode waveguide to arbitrarily wide waveguides (e.g., tens of microns) with a length of approximately the width of the waveguide, whereas linear tapers require increasingly large footprints for expansion to such wide waveguides."