核心概念
本稿では、固体推進剤ロケットモーターにおける燃焼不安定性を予測・抑制するための数値解析モデルと、そのモデルに基づいた設計指針を提示しています。
要約
固体推進剤ロケットモーターにおける燃焼不安定性に関する研究論文の概要
書誌情報
Juan M. Tizón and Antoni M. Barredo. (2024). Combustion Instabilities in Complex Chamber Geometries of Solid Propellant Rocket Motors. arXiv preprint arXiv:2411.08731v1.
研究目的
本研究は、固体推進剤ロケットモーターの燃焼室内で発生する高周波燃焼不安定性を予測・解析することを目的としています。
方法
- 燃焼室内の音響挙動を予測する数学モデルを開発し、燃焼室モードを計算
- 複雑な燃焼室形状の音響モード計算を可能にする、ラプラシアン演算子の新規離散化手法を導入
- 固体推進剤ロケットモーターに典型的な複雑な形状にモデルを適用し、数値計算例を提示
- 設計プロセスを支援するための分析手順を開発し、推進システムの安定性と性能を最適化するための重要なデータを提供
重要な結果
- 燃焼不安定性は、燃焼室内の圧力変動を引き起こし、固体ロケットモーターの構造的完全性と性能に影響を与える可能性がある
- 燃焼中に音響振動として現れるこれらの不安定性を解析するために、燃焼室の音響挙動を予測する数学モデルが開発された
- 複雑な燃焼室形状の音響モード計算を可能にする、ラプラシアン演算子の新規離散化手法が導入された
- この手法は、非構造化メッシュ構成用に設計された効率的な数値アルゴリズムを使用している
- 固体ロケットモーターに典型的な複雑な形状にモデルを適用した、いくつかの計算例が提示された
- さらに、これらの例では、設計プロセスを支援するための分析手順が開発され、推進システムの安定性と性能を最適化するための重要なデータがエンジニアに提供された
結論
本研究は、燃焼不安定性の解析に関する貴重な洞察を提供し、航空宇宙工学における推進システムの設計と最適化に幅広い影響を与えるものである。
意義
本研究は、複雑な形状の燃焼室における燃焼不安定性のメカニズムを理解し、その抑制のための設計指針を提供することで、より効率的で信頼性の高い固体推進剤ロケットモーターの開発に貢献するものである。
制限と今後の研究
本研究では、燃焼プロセスを簡略化したモデルを用いているため、より現実的な燃焼モデルを用いた解析が今後の課題として挙げられる。また、実験データとの比較検証を行うことで、モデルの精度向上を図ることが重要である。
統計
燃焼速度 ˙rb ∼ 0.01m/s
推進剤の熱拡散率 αp ∼ 10^-7 m^2/s
特性速度 c∗ ∼ 1000 m/s
特性波数 k∗ ∼ 1 m^-1