本論文は、太陽コロナにおけるエネルギー粒子輸送、特にコロナ質量放出(CME)に伴う磁束ロープ内での粒子の閉じ込めと、磁場を横切る拡散(CFD)の影響について調査している。
太陽フレアやCMEに伴い加速される太陽エネルギー粒子(SEP)は、宇宙天気現象の重要な要素であり、宇宙船や宇宙飛行士に深刻な脅威をもたらす。近年のパーカー太陽探査機(PSP)による観測では、CMEの磁束ロープはエネルギー粒子を閉じ込め、他の粒子が横切るのを妨げる障壁として機能する可能性が示唆されている。
本研究では、コロナにおける粒子輸送をシミュレートするために、COCONUT+PARADISEモデルと呼ばれる新しいモデルを導入している。COCONUTは、3次元コロナMHDモデルであり、修正されたTitov-D´emoulin磁束ロープ(TDFR)としてモデル化されたCMEを含むコロナ背景構成を生成するために使用される。PARADISEは、COCONUTによって生成された背景構成を通してエネルギー粒子をテスト粒子として進化させる粒子輸送コードである。CFDの影響を調べるために、一定の垂直平均自由行程(MFP)と、粒子のラーモア半径に依存する垂直MFPの2つの異なるアプローチを採用している。
CFDがない場合のシミュレーションでは、粒子はTDFR内の磁力線に沿って伝播し、CMEのサイト内に閉じ込められたままであることが示された。しかしCFDを考慮すると、たとえ比較的小さな垂直MFP値であっても、外層の粒子が逃げ出すことが可能になることがわかった。これは、CFDが粒子が磁力線を横切って拡散することを可能にし、それによってCMEから逃げることを可能にするためである。一方、最初に内部に閉じ込められた粒子は、大部分が閉じ込められたままであった。
本研究の結果は、CFDがコロナにおける粒子輸送において重要な役割を果たしていることを示唆している。特に、CFDは、CMEに関連するSEPの放出と輸送を理解する上で重要である可能性がある。本研究で得られた知見は、将来のSEPイベントのモデリングと予測、そして宇宙天気現象のより深い理解に貢献するものである。
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