核心概念
宇宙の膨張率と物質含有量の関係を記述するフリードマン方程式における空間曲率パラメータと、光子の軌道を決定する測地線方程式における空間曲率パラメータとの間に、ずれが存在する可能性を示唆している。
要約
宇宙論的FRWモデルにおける空間曲率の異なる現れ方についての論文要約
この論文は、宇宙の幾何学と進化を決定づける空間曲率の性質について、新たな知見を提供する研究論文である。
宇宙は、最大スケールでは非常に等方的であり、一様であるという宇宙原理に基づいて記述される。
このような宇宙を記述する標準的なモデルは、フリードマン・ロバートソン・ウォーカー(FRW)計量に基づいており、宇宙の空間曲率は正、ゼロ、負のいずれかの値をとると考えられている。
現在の標準的な宇宙モデルであるΛCDMモデルは、空間的に平坦であり、宇宙のエネルギー含有量は、約69%のダークエネルギーと31%の非相対論的物質(バリオン5%と冷たいダークマター26%)で構成されていると仮定している。
しかし、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測データは、空間的に閉じた宇宙モデルを支持する一方で、バリオン音響振動(BAO)データは、平坦な空間を強く支持しており、宇宙の曲率に関する統一的な見解は得られていない。
本研究では、フリードマン方程式における空間曲率パラメータ(宇宙の物質含有量と膨張率の関係を決定する)と、光子の測地線方程式における空間曲率パラメータ(光子の軌道を決定する)との間に、ずれが存在する可能性を検証することを目的とする。