核心概念
本稿では、数体K上で定義された射影空間間の非定数射fに対して、H(f(P)) ⩽Xを満たすK-有理点Pの個数をX →∞としたときの明示的な誤差項を持つ公式を提供する。ここで、Hは絶対乗法的Weil高さ関数である。
本稿は、数体K上で定義された射影空間間の非定数射fについて、H(f(P)) ⩽Xを満たすK-有理点Pの個数に関するSchanuelの定理を拡張したものである。ここで、Hは絶対乗法的Weil高さ関数である。
主な結果
本稿の主結果は、明示的な主要項と誤差項を持つ公式を提供することである。この公式は、射fの新しい不変量を用いて表現され、従来のSchanuelの定理よりも精密な評価を可能にする。
証明の概要
証明は、Schanuelの原論文[31, 32]で概説された戦略に従う。まず、射fのファイバー上の点を数え上げる。次に、各ファイバーにおける点の個数を、対応する余剰因子と呼ばれる新しい概念を用いて評価する。最後に、すべての余剰因子について和を取ることで、全体の点の個数を計算する。
余剰因子
射fの余剰因子ℓfは、fの整数的な持ち上げFを用いて定義される分数イデアルである。本稿では、ℓfが常に有限個の整イデアルのいずれかであり、それぞれが明確に定義された非ゼロ確率で発生することを示す。
局所密度
各場所vにおける局所密度δf,vは、v(F(z)) = dv(z) + v(F) + iとなる確率として解釈できる。ここで、iは非負整数である。
主定理の応用
本稿では、主定理の応用として、射の像における点の個数計算と、力学系におけるSchanuelの定理の類似について考察する。