核心概念
本稿では、欧州XFELの電子ビームを用いたガンマガンマコライダーの実現可能性と、それを用いた標準模型を超える物理(BSM物理)探索の可能性について議論する。
要約
欧州XFELを用いたガンマガンマコライダーにおけるBSM物理探索の可能性
本論文は、欧州XFELの電子ビームを用いたガンマガンマコライダーの実現可能性と、それを用いた標準模型を超える物理(BSM物理)探索の可能性を議論する研究論文である。
研究目的
- 欧州XFELの17.5 GeV電子ビームを用いて、最大12 GeVのエネルギーを持つガンマガンマコライダーを構築できるかどうかを検討する。
- 構築できた場合、標準模型を超える物理、特にアクシオン様粒子(ALP)を観測できる可能性を評価する。
方法
- コンプトン後方散乱過程を用いて、電子ビームから高エネルギー光子ビームを生成する手法を検討する。
- 生成された光子ビームのエネルギー分布と光度を計算する。
- 光子-光子散乱過程における標準模型の寄与と、ALPの寄与を計算し、比較検討する。
主な結果
- 欧州XFELの電子ビームを用いることで、現実的なパラメータでガンマガンマコライダーを構築できる可能性がある。
- ALPが標準模型の予測を超える光子-光子散乱事象を引き起こす可能性があり、その観測にガンマガンマコライダーが有効である。
結論
欧州XFELの電子ビームを用いたガンマガンマコライダーは、BSM物理、特にALPの探索に有効な手段となりうる。高エネルギーの電子-陽電子衝突型加速器が建設されるまでの間、欧州XFELの電子ビームを用いることで、ガンマガンマコライダー技術の開発や、BSM物理探索を進めることが可能である。
意義
本研究は、既存の加速器施設を用いた新たな物理探索の可能性を示唆するものである。特に、ALPの探索は、暗黒物質や宇宙の進化の謎を解明する上で重要な鍵となる可能性がある。
限界と今後の研究
本研究では、簡略化されたモデルを用いて計算を行っているため、より詳細なシミュレーションが必要である。また、ALPの質量や結合定数などのパラメータによって、観測可能性が変化するため、様々なパラメータ領域で検討を行う必要がある。
統計
欧州XFELの電子ビームエネルギー: 17.5 GeV
ガンマガンマ衝突の重心系エネルギー: 最大12 GeV
ALPの質量: 6 GeV (例として)
ALPの結合定数: 10 TeV (例として)
引用
"The possibility of a Photon-Photon collider extension to the Beam dump of the 17.5 GeV European XFEL has been discussed before as the first high energy collider of its sort."
"It would not just be to study the concept of photon colliders but would also be a collider without competition in the region of 5 −12 GeV for photon-photon collision."
"In this range, b¯b and c¯c resonances, tetraquarks as well as mesonic molecules can be observed. Furthermore, some BSM processes can also be reached in this range."