本論文は、LOFAR電波望遠鏡を用いて、Lockman HoleおよびELAIS-N1領域にある7,497個の電波源を高解像度で観測し、活動銀河核(AGN)の活動と星形成活動の両方を、物理プロセスに基づいて分離して電波光度関数(RLF)を初めて構築した研究について述べています。
AGNと星形成活動はどちらも銀河の進化において重要な役割を果たしますが、従来の電波観測では、AGNと星形成活動の両方の電波放射が混在する天体を、星形成銀河またはAGNのいずれかに分類していたため、AGNの寄与を過小評価していた可能性がありました。
本研究では、LOFAR電波望遠鏡の高い解像度と広視野を活かし、144 MHzにおける輝度温度測定を用いることで、AGNからの電波放射と星形成からの電波放射を区別しました。具体的には、サブ秒角スケールの高解像度画像でAGN成分を特定し、それを全体のフラックス密度から差し引くことで、星形成活動のみによるフラックス密度を算出しました。
その結果、従来の銀河分類に基づくRLFと比較して、L144MHz < 10^24 W Hz^-1の低光度領域において、隠れたAGN集団が存在することが明らかになりました。この集団は、0.5 < z < 2.0の赤方偏移範囲において、従来予想されていたAGNの数よりも1.56±0.06倍も多いことがわかりました。一方、星形成活動については、従来予想されていたよりも0.90±0.02倍少ないという結果になりました。
本研究で発見された隠れたAGN集団は、宇宙の星形成率や運動学的光度密度の推定に大きな影響を与える可能性があります。また、本研究で初めて物理プロセスに基づいて構築されたRLFは、AGNと星形成活動の宇宙進化をより正確に理解するための重要な基盤となるものです。
他の言語に翻訳
原文コンテンツから
arxiv.org
深掘り質問