核心概念
本稿では、境界までの距離の逆数のように振る舞う特異ドリフト項とラプラシアンの和で表される楕円型作用素のグリーン関数に対する最適な点別の上限および下限評価を示す。
要約
研究目的
本稿では、必ずしも有界な弦弧領域ではない$\mathbb{R}^n$ (n ≥ 3) において、境界までの距離の逆数のように振る舞う特異ドリフト項とラプラシアンの和で表される楕円型作用素のグリーン関数に対する点別の上限および下限評価を示すことを目的とする。
方法
- グリーン関数が局所的に$C^3$に属すると仮定し、楕円型測度に対するブルガン評価を仮定しながら標準的な議論を採用する。
- 下限評価を得るために、[GW82]で使用されたものと同様の議論を用いる。
- 上限評価を得るために、[KS19]のProposition 5.10の議論を採用し、修正されたローレンツノルムを導入する。
- グリーン関数のレベルセットと、極からのこれらのレベルセットの最小距離にある点に注目し、ラプラシアンの極形式を用いる。
主な結果
- 定理1:式(3)の楕円型作用素について、係数が式(4)を満たす場合、|z − y| ≤ 1/2δ(y) := 1/2dist(y, ∂Ω) を満たす任意のz, y ∈ Ωに対して、G(x, y) > 0であり、G(y, z) ≥ K(M, λ) / |z − y|^(n−2) が成り立つ。
- 定理2:式(1)の作用素と、この作用素に対応するディリクレグリーン関数を考える。さらに、あるα > 0に対してB ∈ C^(1,α)(U)と仮定する。|z − y| ≤ 1/2δ(y) を満たす任意のz, y ∈ Ωに対して、M、λのみに依存する定数K'が存在し、G(x, y) ≤ K'(M, λ) / |x − y|^(n−2) が成り立つ。
意義
- 本稿の結果は、特異ドリフト項を持つ楕円型作用素のグリーン関数の挙動に関する理解を深めるものである。
- 特に、弦弧領域における対応する楕円型測度の2倍性を示している。
制限と今後の研究
- ドリフト項は境界までの距離の逆数によって上から抑えられると仮定している。
- ポテンシャル項については、大きさの上限と負性条件を満たす必要がある。