核心概念
磁気ワイル半金属において、磁気共鳴によって誘起される擬似ゲージ場と電磁場との相互作用により、非線形電流応答が生じる。
要約
本論文は、磁気ワイル半金属における磁気共鳴誘起非線形電流応答について論じている研究論文である。
研究目的
本研究は、磁気ワイル半金属において、磁気共鳴が非線形電流応答を誘起することを理論的に解明することを目的とする。
方法
- ワイル半金属における電子構造を記述する4バンドモデルを用い、磁気共鳴誘起擬似ゲージ場と電磁場との相互作用を考慮した。
- 磁気共鳴による磁化の振動を記述するランダウ・リフシッツ・ギルバート方程式を解き、擬似電場を導出した。
- 密度行列形式を用いて非線形電流応答を計算し、磁気共鳴誘起電流の表式を導出した。
結果
- 磁気共鳴により誘起される擬似ゲージ場は、左右のカイラリティを持つワイルノードに逆向きに結合する。
- このカイラリティ依存性により、通常の円偏光光電流効果(CPGE)とは異なり、反対のカイラリティを持つ2つのワイルノードからの電流応答は互いに打ち消し合うことなく、非ゼロの電流が生成される。
- この非線形電流応答は、入射光の偏光状態や磁場の印加方向に依存する。
結論
本研究は、磁気ワイル半金属において、磁気共鳴が非線形電流応答を誘起することを理論的に示した。この結果は、磁気ワイル半金属における新規な光電磁気効果の可能性を示唆するものである。
意義
本研究は、磁気ワイル半金属における非線形電磁気応答の理解を深め、スピントロニクスや量子情報処理などの分野における応用可能性を示唆するものである。
限界と今後の研究
- 本研究では、理想的な磁気ワイル半金属モデルを用いており、現実の物質における不純物や格子欠陥の影響は考慮されていない。
- 今後の研究では、現実の物質における実験結果との比較や、デバイス応用に向けた材料探索などが期待される。
統計
ワイルフェルミオンの線形分散関係が有効なエネルギー領域は、約0.01〜0.02eVである。
このエネルギー領域は、3番目のバンドと2つのワイルバンドとのエネルギー分離(約0.2eV)よりも1桁小さい。
引用
"In this work, we propose a geometric nonlinear current response induced by magnetic resonance in magnetic Weyl semimetals."
"The key idea is to introduce the concept of “pseudo-gauge field” via magnetic fluctuation or spin wave in magnetic Weyl semimetals."
"Strikingly, we find two Weyl nodes with opposite chiral charges contribute the same sign to the MR-induced nonlinear current, in sharp contrast to the opposite sign contributions of the normal CPGE."