核心概念
$^{12}$C + $^{208}$Pb反応における励起エネルギーと核分裂様フラグメントの質量分布の関係性を調査し、化合核の励起エネルギーが増加すると質量分布の分散も増加することが明らかになった。
本論文は、$^{12}$C + $^{208}$Pb反応における励起エネルギーと核分裂様フラグメントの質量分布の関係性を調査した研究論文である。
研究目的
本研究は、$^{12}$Cビームを$^{208}$Pbターゲットに照射し、生成される核分裂様フラグメントの質量分布を測定することで、$^{12}$C + $^{208}$Pb反応における核分裂ダイナミクスを解明することを目的とした。
実験方法
実験は、インドのニューデリーにある大学間加速器センター(IUAC)で行われた。エネルギー81.9 MeVと75.8 MeVの$^{12}$Cビームを、厚さ約0.169–0.237 mg/cm2の濃縮$^{208}$Pbターゲットに照射した。生成された核分裂様フラグメントは、反跳キャッチャー活性化技術を用いて収集し、オフラインγ線分光法により分析した。
結果
励起エネルギーE* = 45.4 MeVおよび39.6 MeVにおいて、それぞれ27個および20個の核分裂様フラグメントが同定された。質量分布は、両方の励起エネルギーにおいてガウス関数で良く再現され、化合核過程による核分裂を示唆している。質量分散(σ2M)は、励起エネルギーの増加とともに増加することがわかった。
結論
本研究の結果、$^{12}$C + $^{208}$Pb反応における励起エネルギーが増加すると、核分裂様フラグメントの質量分布の分散も増加することが明らかになった。これは、励起エネルギーが高いほど、核分裂片の質量数が広範囲に分布することを示唆している。
意義
本研究は、$^{12}$C + $^{208}$Pb反応における核分裂ダイナミクスに関する重要な知見を提供するものである。得られた質量分散と励起エネルギーの関係は、核分裂過程の理論モデルの開発に役立つ可能性がある。
今後の展望
今後は、より低い励起エネルギー領域や、異なる反応系における質量分布測定を行い、核分裂ダイナミクスの理解を深める必要がある。
統計
E* = 45.4 MeVでの質量分布の中心(Mp)は114.29 ± 0.50、幅(σM)は15.38 ± 0.82。
E* = 39.6 MeVでの質量分布の中心(Mp)は113.51 ± 0.32、幅(σM)は13.21 ± 0.53。
アンチモン同位体の質量分散パラメータ(σ2A)は、E* = 45.4 MeVで2.93、E* = 39.6 MeVで2.65。
インジウム同位体の質量分散パラメータ(σ2A)は、E* = 45.4 MeVで1.24。