核心概念
重力波観測と電磁波観測を組み合わせたキロノヴァの検出効率を向上させるには、現実的な重力波の局在化の不確実性と発生率の推定、そして利用可能な望遠鏡時間の最適化が不可欠である。
要約
DECamを用いたLIGO/Virgo/KAGRA重力波イベントに対する電磁対応天体の検出:中性子星合体
本論文は、重力波観測と電磁波観測を組み合わせた、キロノヴァ検出効率の向上を目指した研究について述べています。具体的には、LIGO/Virgo/KAGRA (LVK) 重力波観測網の第4期および第5期観測運転 (O4およびO5) における重力波イベントのシミュレーションを行い、キロノヴァ検出の最適化を検討しています。
重力波イベントのシミュレーション:
LVK O4およびO5の検出器感度を用いて、現実的な重力波イベントのシミュレーションを実施。
データ駆動型の重力波源パラメータ分布 (PDBモデル) を採用し、バイナリパラメータを決定。
LIGO/Virgo/KAGRAの各検出器の感度、ノイズ特性などを考慮し、現実的な観測データを生成。
キロノヴァの光度曲線のモデリング:
シミュレートされたBNSおよびNSBH合体イベントに対して、NMMAフレームワークを用いてキロノヴァの光度曲線を計算。
Bu2019lmおよびBu2019nsbhサrogateモデルを採用し、バイナリパラメータに応じたキロノヴァの光度変化を予測。
動的質量放出 (Mdyn) と円盤風質量放出 (Mwind) を考慮し、現実的なキロノヴァの光度曲線を生成。
観測戦略のシミュレーション:
DECamを用いたフォローアップ観測をシミュレートし、キロノヴァ検出の最適化を検討。
gwemoptコードを用いて、DECamのタイル観測戦略を最適化。
キロノヴァの光度曲線に基づいて、gバンドとiバンドの露光時間を計算し、観測可能なタイル数を最大化。