核心概念
若い星のフレア観測において、可視光から推測される紫外線放射量は過小評価されている可能性があり、これは系外惑星の光化学やトランジット検出に影響を与える。本研究では、TESSとSwiftの同時観測データを用いて、より正確な紫外線放射量推定と、トランジット検出への影響を分析する。
若い星の活動進化と惑星系の形成は密接に関係している。
若い星では、X線から紫外線(UV)波長域の恒星放射が強く、惑星の原始大気散逸や大気化学に影響を与える。
特に、M型星は前主系列星段階が長く、強い高エネルギー放射を放出するため、その影響を理解することが重要となる。
フレアは、コロナの磁気再結合によって起こり、荷電粒子が光球に向かって加速され、プラズマを加熱することで、様々な波長で放射が発生する。
フレアのエネルギー収支を理解するためには、紫外線領域を含む多波長同時観測が不可欠だが、現状ではデータが不足している。
本研究では、早期進化探査機(EVE)による将来の観測に備え、TESSとSwiftの同時観測データを用いて、若い星のフレアにおける紫外線と可視光の相関関係を調査する。
対象:GJ 674、G 41-14、EV Lac、AP Col、YZ CMi の5つのM型星
データ:Swift(近紫外線:NUV)とTESS(可視光)の20秒間隔の同時観測データ
解析方法
Swiftデータ:較正、バックグラウンド除去、計数率からフラックスへの変換
TESSデータ:Savitzky-Golayフィルターを用いたトレンド除去、フレア候補の特定
Swiftデータで検出されたフレアのTESSデータにおける対応天体の特定
フレアのピーク時間、持続時間、エネルギー等の測定
NUVフレアの形状に基づいた可視光フレアの予測モデルの構築