核心概念
trajmsmパッケージは、潜在クラス成長分析(LCGA)と周辺構造モデル(MSM)を組み合わせたLCGA-MSMという手法を用いて、経時的な治療や介入の効果を推定するための包括的なツールを提供します。
本稿は、潜在クラス成長分析(LCGA)と周辺構造モデル(MSM)を組み合わせたモデルのパラメータ推定を簡素化するように設計された関数を提供するRパッケージ、trajmsmについて解説する研究論文である。
研究目的
本稿の目的は、時間依存性治療(または曝露)とアウトカムとの関連において、時間依存性共変量が交絡因子と媒介変数の二重の役割を果たす場合に、その関連性を適切に処理するための新たな統計的手法を提案することである。
方法
本稿では、まずLCGAを用いて時間経過に伴う類似した変化パターンを軌跡グループと呼ばれるいくつかの異なるカテゴリに分類し、次にMSMにおいてこれらの軌跡グループを「治療」として組み込むという、LCGAとMSMを組み合わせたアプローチ(LCGA-MSM)を提案する。LCGA-MSMのパラメータは、逆確率重み付け(IPW)、g-computation、プールされた縦断的目標最大尤度推定(プールされたLTMLE)など、さまざまな推定量を用いて一貫して推定することができる。
結果
trajmsmパッケージは、IPW、g-computation、プールされたLTMLEを用いてLCGA-MSMのパラメータを推定する機能を提供する。IPWについては、現在、連続変数、二値変数、イベント発生までの時間(生存時間)の3種類のアウトカムがサポートされている。g-computationとプールされたLTMLEについては、現在、二値アウトカムのみがサポートされている。
結論
trajmsmパッケージは、時間依存性共変量の交絡因子と媒介変数の二重の役割を適切に処理することで、経時的な治療や介入の効果をより正確に推定するための柔軟かつ強力なツールを提供する。
意義
本研究は、特に医学研究や社会科学の分野において、経時データの分析における重要なギャップを埋めるものである。このパッケージは、複雑な因果関係を解明し、より効果的な介入戦略を開発するための新しい道を切り開くものである。
制限と今後の研究
trajmsmパッケージの現在のバージョンでは、二値アウトカムの分析に重点が置かれている。今後の研究では、カウントデータや連続データなどの他の種類のアウトカムに対するサポートを組み込むことを検討している。