本稿では、三次元結合PT対称電子共振器の非エルミート特性について、回路理論に基づいた理論的解析が行われています。
まず、結合されていないLC共振回路を例に挙げ、損失の無い理想的な回路は閉鎖系でありエルミート性を示すのに対し、抵抗による損失が存在する現実の回路は開放系となり非エルミート特性を示すことを説明しています。その上で、利得と損失をバランスさせたPT対称な構成の回路では、特定のパラメータ条件下において、開放系でありながら閉鎖系と同様の性質を示すことを示しています。
次に、相互インダクタンス結合を用いた並列トポロジーにおける、線形構成と平面構成の二種類の三次元PT対称回路について解析が行われています。
線形構成の回路においては、利得・損失パラメータと結合係数の二次元パラメータ空間におけるPT対称相とPT破断相の領域が示され、結合係数が強い領域や利得・損失パラメータが小さい領域でPT対称相が存在することが明らかになっています。また、固有周波数の変化から、この回路では三次以上の高次例外点は存在せず、二次例外点においてのみ二つのモードが縮退することが示されています。
平面構成の回路においては、利得・損失パラメータと二つの結合係数の三次元パラメータ空間におけるPT対称相とPT破断相の領域が示され、線形構成と同様に結合係数が強い領域や利得・損失パラメータが小さい領域でPT対称相が存在することが明らかになっています。また、線形構成とは異なり、結合係数を変化させた場合に、PT対称相からPT破断相への相転移と、PT破断相からPT対称相への相転移の二つの相転移が生じる可能性があることが示されています。
最後に、回路理論と結合モード理論の比較に基づき、高次例外点が存在するための条件について議論されています。
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