核心概念
本稿では、多項カタラン数と呼ばれるカタラン数の一般化と、そのLucas類似体の整数性を考察し、有限個の場合を除いて整数となることを示す。
要約
- 本稿は、多項カタラン数とそのLucas類似体の整数性を考察する論文である。
- まず、多項カタラン数$C_l(n)$を定義する。これは、中心多項係数を$(n+1)^l$で割ったものである。
- 通常のカタラン数は、$l=1$の場合に相当する。
- 多項カタラン数の整数性を証明するために、多項係数の$p$進付値を調べる。ここで、$p$は素数を表す。
- クンマーの定理(クンマーの法則とも呼ばれる)から、二項係数の場合、${m+n \choose n}$の$p$進付値は、$m$と$n$を$p$進数で加算したときの繰り上がりの回数に等しいことがわかる。
- このクンマーの定理と恒等式
$${a_1+a_2+\cdots+a_{l+1} \choose a_1, a_2, ..., a_{l+1}} = \prod_{i=1}^{l+1} {a_1+\cdots+a_i \choose a_i}$$
を用いることで、以下の一般化されたクンマーの法則が得られる。
一般化されたクンマーの法則
多項係数${a_1+a_2+\cdots+a_{l+1} \choose a_1, a_2, ..., a_{l+1}}$の$p$進付値は、$a_1, a_2, ..., a_l, a_{l+1}$を$p$進数で加算したときに発生する繰り上がりの回数に等しい。繰り上がりの回数は、加数の順序や和の括弧の付け方に依存しない。
- 次に、$p$進数で$p^j-1$の形の数を足し合わせたときに発生する繰り上がりの回数に関する補題をいくつか証明する。
- これらの補題を用いて、多項カタラン数$C_l(n)$の$p$進付値が負になるのは、$p \leq p^{v_p(n+1)} \leq l$のときに限られることを示す。
- さらに、$p \leq p^{v_p(n+1)} \leq l$かつ$v_p(C_l(n)) < 0$となるようなすべてのペア$(n, p)$に対して、整数$n+1$は$p$のべき乗でなければならないことを証明する。
- 特に、これは、例外的な数$n$がすべて$n+1 \leq l$を満たすことを示しており、例外的な数は有限個しかないことを保証している。
- これらの結果から、多項カタラン数$C_l(n)$は$n \geq l$を満たすすべての$n$に対して整数であるという結論が導かれる。