核心概念
フェムト秒レーザーパルスによって誘起されたプラズマから発生する音響波を用いることで、レーザー光のキャリアエンベロープオフセット周波数と位相を直接測定できることが実証された。
要約
音響波によるレーザー光の特性評価:新たな知見
本論文は、高強度サブ4フェムト秒レーザーパルスを用いたレーザー音響波におけるキャリアエンベロープオフセット周波数と位相の初の実験的観測について報告している。
レーザー誘起プラズマは、極端紫外線や軟X線領域の高次高調波発生、テラヘルツ放射の発生など、非線形光学現象を示す。
これらの現象は分光学的ツールや新規光源としての応用が期待されている。
レーザー誘起音響波の研究は1960年代から行われているが、従来の研究ではパルス幅が数十フェムト秒からピコ秒、ナノ秒の範囲であり、キャリアエンベロープ位相(CEP)が安定化されていなかった。
本研究では、CEP安定化サブ4フェムト秒光パルスを用いたレーザー音響実験を初めて行った。
実験の結果、音響高調波の周波数間隔がレーザーの繰り返し周波数に対応し、高調波次数が100を超える音響周波数コムが観測された。
音響高調波強度は駆動光パルスのCEPに依存することが明らかになった。
光周波数コムのキャリアエンベロープオフセット周波数(𝑓ceo)を音響スペクトルで直接観測することに成功し、アト秒からミリ秒への超長時間コヒーレンス保存が示唆された。
音響高調波を用いたパルス特性評価法を実証し、周囲空気中の光を効果的に「聴く」ことを可能にした。