核心概念
有限次元ユークリッド空間Rnとその部分集合A間のグロモフ・ハウスドルフ距離が有限であるのは、AがRn内のε-netである場合かつその場合に限ります。
参考文献: I. N. Mikhailov, A. A. Tuzhilin. When the Gromov–Hausdorff distance between finite-dimensional space and its subset is finite? arXiv:2411.13539v1 [math.MG] 20 Nov 2024
研究の背景と目的
本論文は、古典的なグロモフ・ハウスドルフ距離の幾何学的性質、特に非有界距離空間における性質を考察しています。
グロモフ・ハウスドルフ距離は、通常、有界な距離空間、主にコンパクトな距離空間に対して用いられます。
非有界な距離空間の場合、この距離は点付きグロモフ・ハウスドルフ収束の定義に用いられますが、対応する距離関数を定義する試みは限られています。
本論文では、非有界な距離空間間の標準的な(点付きではない)グロモフ・ハウスドルフ距離の幾何学的性質について考察を深めます。
主な結果
距離空間Xのε-netは、Xから有限のグロモフ・ハウスドルフ距離にあります。
本論文では、この逆、すなわち、Xから有限のグロモフ・ハウスドルフ距離にあるXの部分集合Yは、あるε > 0に対してX内のε-netであるか、という問題に取り組んでいます。
無限次元ユークリッド空間に対しては、この逆は成り立ちません。
本論文では、有限次元ユークリッド空間に対しては、この逆が成り立つことを証明しています。
証明の概要
証明は、ユークリッドグロモフ・ハウスドルフ距離の古典的なグロモフ・ハウスドルフ距離による上からの評価に基づいています。
この評価は、他の有限次元ノルム空間にはないRnの等長変換群Iso(Rn)の豊富さに基づいています。
この結果を他の有限次元ノルム空間に一般化することは、等長変換群の性質の違いから困難です。
結論
有限次元ユークリッド空間Rnとその部分集合A間のグロモフ・ハウスドルフ距離が有限であるのは、AがRn内のε-netである場合かつその場合に限ります。
この結果は、グロモフ・ハウスドルフ距離の幾何学的性質を理解する上で重要な洞察を提供します。