核心概念
活動銀河核(AGN)からの超高速アウトフロー(UFO)は、銀河系宇宙線の終端エネルギーから、より高エネルギーの銀河系外宇宙線までの間のエネルギー領域における、拡散宇宙線フラックスの発生源となりうる。
本論文は、超高エネルギー宇宙線(UHECR)の潜在的な発生源として、活動銀河核(AGN)における超高速アウトフロー(UFO)を調査したものである。先行研究では探求されていなかった宇宙線原子核に焦点を当て、AGNの一般的な特徴である、光速の最大半分に達する速度を持つ大規模で穏やかに相対論的なアウトフローについて考察している。
3D CRPropaシミュレーションを用いて、これらの環境における宇宙線スペクトルと到達可能な最大エネルギーを調べ、観測された87個のUFOに適用した。その結果、いくつかのUFOでは、鉄原子核が風終端衝撃で最大約10^20 eVまで加速される可能性があるが、強いAGN光子場との光核相互作用により、脱出するフラックスは強く減衰することがわかった。
ほとんどのUFOから脱出する原子核の最大エネルギーは、相互作用によって制限され、約10^17 eV未満となり、質量数に比例する。サンプルの中で最も極端な約10%のUFOでは、窒素とヘリウムは10^17.6 eVを超えるエネルギーで脱出する。陽子と中性子は、一次粒子であれ、光崩壊の副産物であれ、ほとんど減衰することなくUFOから脱出し、観測されたUFOの半分は10^18 eVを超えるエネルギーに達する。
このことから、UFOは、銀河系宇宙線の終端エネルギーから、最も高エネルギーの銀河系外フラックスまでの間の拡散宇宙線フラックスの発生源となりうる。UFOは、エネルギー、スペクトル形状、化学組成の観点から、このスペクトル部分を満たすことができ、数PeVを中心エネルギーとする実質的なニュートリノフラックスを伴うため、ニュートリノ望遠鏡で検証可能であることが示された。
サンプル内のUFOのごく一部では、原子核は光崩壊を起こさずに最大10^19.8 eVのエネルギーで脱出することができる。これは、AGNの低放射状態において発生し、UFOは観測された最高エネルギーまでのUHECR原子核の間欠的な発生源となる可能性がある。
本研究は、AGNのUFOにおける宇宙線原子核の最大到達エネルギーと、拡散UHECRおよびニュートリノフラックスへのUFOの潜在的な寄与を調査することを目的としている。