核心概念
正定値偶格子に付随するベクトル値テータ関数のメタプレクティック群 Mp2(Z) の作用は、Weil 表現によって記述されます。本稿では、この表現の不変量が、5つの基本的な不変量から誘導されることを示します。応用として、特異ウェイトを持つヤコビ形式の簡潔な生成系を与えます。
要約
本稿は、メタプレクティック群 Mp2(Z) の Weil 表現、特にその不変量の構造について詳細に研究したものです。
まず、Weil 表現の基礎となる概念である判別式形式について解説しています。判別式形式とは、有限アーベル群 D と二次形式 q: D → Q/Z の組であり、q から導かれる双線形形式が非退化であるものを指します。判別式形式は、偶格子 L を用いて L'/L と表すことができ、その符号 sign(D) は mod 8 で一意に定まります。
次に、SL2(Z) の Weil 表現 ρD を導入し、群環 C[D] への作用を具体的に記述しています。特に、SL2(Z) の生成元 S と T の作用、および -1 ∈ SL2(Z) の作用について詳しく説明しています。
本稿の主要な結果の一つとして、ρD の不変部分空間 C[D]Γ への射影 invD を構成し、その明示的な公式を導出しています。さらに、C[D]Γ の次元公式も証明しています。
これらの結果を基に、素数レベルの判別式形式に対して、invD の具体的な公式と C[D]Γ の次元を計算しています。特に、奇素数 p と 2 に対する公式をそれぞれ導出し、具体的な判別式形式の例についても計算しています。
さらに、本稿では、 isotropic な部分群 H ⊂ D から誘導される isotropic lift という概念を導入し、その性質について論じています。Isotropic lift を用いることで、基本的な不変量からより複雑な不変量を構成することができます。
本稿の主要な結果の二つ目として、任意の偶な符号を持つ判別式形式 D に対して、C[D]Γ が、5つの基本的な不変量から isotropic lift を使って生成されることを示しています。
最後に、これらの結果の応用として、Weil 表現に対するウェイト 2 のカスプ形式の空間の次元を決定し、格子指数 L と特異ウェイトを持つヤコビ形式の空間の生成元を与えています。
統計
Γ(N) の指数は |Γ(N)\Γ| = N^3 Π_{p|N} (1 − 1/p^2) である。
Γ(N) のカスプの数は |Γ(N)\P| = (N^2/2) Π_{p|N}(1 − 1/p^2) (N ≥ 3 の場合) である。
奇素数 p と判別式形式 pϵn に対して、|I| = p^{n−1} + ϵ(−1/p)^{n/2} p^{(n−2)/2} + 1 (n が偶数のとき) である。
判別式形式 2ϵn
II に対して、|I| = 2^{n−1} + ϵ(−1)^{j/2(n−2)/2} である。
引用
"For some applications it is important to have an explicit description of the invariants of the Weil representation of Mp2(Z)."
"Every discriminant form can be realised as the quotient L′/L where L is an even lattice with dual L′."
"Our main result is the following: Let D be a discriminant form of even signature s, square class x and level pl where p is a prime. Then the invariants of the Weil representation on C[D] are generated by the invariants ↑D
H (ix,s
p ) where H is an isotropic subgroup of D such that H⊥/H is isomorphic to the discriminant form Dx,s
p ."