核心概念
仮想Webデザインプログラムを通じて、受刑者の自己効力感と デジタルリテラシーを育成することで、出所後の就職支援と再犯防止につなげる。
要約
本研究は、米国の5つの刑務所・拘置所で実施された12週間のWebデザインプログラムについて報告するものである。このプログラムは、受刑者の自己効力感とデジタルリテラシーの向上を目的としている。
プログラムの概要は以下の通り:
12週間のカリキュラムで、前半6週間はHTML、CSS、Javascriptの基礎を学び、後半6週間は社会問題をテーマにしたWebサイトの制作に取り組む
男女の受刑者が同じ仮想教室で学ぶ
少人数制のブレイクアウトルームで個別指導を行う
大学単位認定プログラムとして実施
2022年の調査では、プログラム参加者へのアンケートから、自己効力感の向上や前向きな意識の変化が見られた。これを受けて2023年には自己効力感の定量的な評価を行った。
その結果、一般的な自己効力感とコンピューターに関する自己効力感の両方で向上が見られたが、統計的な有意差は得られなかった。これは、サンプルサイズの確保が困難な矯正教育分野の課題を示すものである。
一方で、参加者の感想からは、プログラミングスキルの習得だけでなく、自信の獲得や前向きな姿勢の変化など、プログラムの効果が窺えた。
今後の課題としては、より大規模なサンプルでの定量的な検証、カリキュラムの最適化、受刑者の特性に合わせた指導方法の検討などが挙げられる。
統計
「このクラスを通して、自分にもできるんだと感じられるようになった」
「コンピューターの使い方を学べただけでなく、自信もついた」
「21年ぶりのコンピューター操作で、最初は戸惑ったが、今では何でもできるようになった」
「最初は恥ずかしかったが、今では堂々と発言できるようになった」
引用
「このクラスに参加して、自分が人間らしくなれたと感じられるようになった」
「コンピューターに全く詳しくなかったが、Webデザインに興味を持つようになり、これからも学び続けたいと思うようになった」
「クラスの雰囲気がとてもよく、TAsの丁寧な指導のおかげで、困難なことでも乗り越えられた」