核心概念
EnergyPlus Room Simulatorは、EnergyPlusシミュレーションソフトウェアを使用した建物部屋の屋内環境データ生成を簡素化するツールであり、建物エネルギー最適化や室内環境品質の研究、特にデータ量の多い深層学習アプリケーションにおいて有用である。
論文情報
Weber, M., Bogdain, P., Weißenberger, S. V., Marjanovic, D., Sammet, K., Vellmer, J., Banihashemi, F., & Mandl, P. (2024). EnergyPlus Room Simulator. In Proceedings of the IBPSA Building Simulation 2024 conference. Chicago, Illinois, USA, August 25-28.
研究目的
本論文では、EnergyPlusシミュレーションソフトウェアを用いた建物部屋の屋内環境データ生成を簡素化することを目的としたツール「EnergyPlus Room Simulator」を紹介する。
手法
EnergyPlus Room Simulatorは、ユーザーフレンドリーなグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)とREST APIの両方を備えたフロントエンドとバックエンドのコンポーネントで構成されている。バックエンドは、シミュレーションパラメータと結果を保存するMongoDBデータベース、フロントエンドとのやり取りや自動化を可能にするREST API、シミュレーションの前処理と後処理を行うシミュレーション制御で構成されている。
主な結果
EnergyPlus Room Simulatorは、EnergyPlusの専門知識がないユーザーでも、部屋の形状、向き、換気率などのパラメータを変更し、温度、湿度、CO2濃度などの要因をシミュレートすることができる。また、シミュレーションデータは、csv形式やEnergyPlus標準出力形式で出力され、結果の確認や分析に利用できる。
結論
EnergyPlus Room Simulatorは、建物エネルギー最適化や室内環境品質の研究、特にデータ量の多い深層学習アプリケーションにおいて有用なツールである。
意義
本研究は、建物シミュレーションの分野において、EnergyPlusの利用を促進し、屋内環境データへのアクセスを容易にすることで、建物設計と運用における意思決定を向上させる可能性を提供する。
制限と今後の研究
現時点では、EnergyPlus Room Simulatorは、矩形の部屋と1つの外壁を持つ単純な部屋モデルに焦点を当てている。今後の研究では、より複雑な部屋形状や建物の要素、 HVACシステムの制御など、シミュレーション機能の拡張が期待される。
統計
建物は世界のエネルギー消費の約3分の1を占めている。
深層学習による在室検知では、シミュレーションデータによる事前学習により、アノテーションが必要なデータ量が半分に削減される可能性がある。