核心概念
商用ゲームエンジン、特にUnreal Engineは、高い没入感とインタラクティブ性を必要とする科学データのビジュアライゼーションに最適なツールとなりうる。
要約
没入型ビジュアライゼーションのためのゲームエンジン:エンターテイメントを超えたUnreal Engineの活用
本稿は、学術的な研究論文ではなく、学術誌に掲載された記事の著者バージョンである。
没入型ビジュアライゼーションラボでは、科学データを効率的に分析・探索するための強力なツールやアプリケーションの開発が重要な役割を担っている。
これらのアプリケーションの要件は多岐にわたり複雑であるため、開発プロセスも複雑になる傾向がある。
その結果、長い時間をかけて成長・発展してきた多種多様なツール、フレームワーク、アプローチが存在している。
近年では、Unreal Engineなどの商用オフザシェルフゲームエンジンの進化が目覚ましく、没入型ビジュアライゼーションラボでの開発においても有力な選択肢となっている。
RWTHアーヘン大学のビジュアライゼーションラボでは、従来の独自ソフトウェア「ViSTA」からUnreal Engineへの移行を進めている。
ViSTAは柔軟性と機能性に優れていたものの、開発の複雑さ、メンテナンスの負担、低いユーザーアクセシビリティなどの課題があった。
一方、Unreal Engineは、ゲーム開発で培われた高いパフォーマンス、豊富な機能、開発ツールの充実、活発なコミュニティなどの利点を持つ。
特に、VR/AR機能の強化、nDisplayプラグインによるクラスタレンダリングのサポートは、ラボのCAVE環境との親和性が高く、移行を後押しした。