本研究は、PoWブロックチェーンの問題点を解決するための低炭素ブロックチェーンシステムの提案である。
まず、PoWブロックチェーンが大量のエネルギーを消費し、地域の電力供給構成によってはCO2排出が大きくなる問題を指摘する。
次に、PoWアルゴリズムを、抽選とPoVMエミュレーションに置き換える方法を提案する。PoVMエミュレーションとは、自律的なブロックチェーンマイナーが、一定期間VM(仮想マシン)を提供することで抽選券を得るというものである。これらのVMは、ジョブキューから仕事を受け取って実行する。
PoVMの適切な設定と動作を、コンセンサスによって管理・検証することが重要な課題である。また、ジョブキューの管理、Skupperの分散コンセンサスベースの実装など、完全な実用システムを構築するための技術的な課題が残されている。
本研究は、Gridcoin、Golem、iExecなどの既存の分散コンピューティングシステムと共通する部分も多い。PoVMの検証、SLAの形式化、マルチパーティコンセンサスベースの実装など、今後の発展に向けた課題が示されている。
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