本論文では、スペクトルGNNにおいて、グラフフィルターの近似精度が重要であることを示した。特に、バンドパスタイプのグラフフィルターを正確に近似できることが、GNNの性能向上につながることを理論的・実験的に明らかにした。
従来のポリノミアルベースのGNN(poly-GNN)は、低域通過フィルターや高域通過フィルターなどの近似誤差を全体的に小さくすることを目指してきたが、バンドパスフィルターの近似精度は十分ではなかった。これは、従来のポリノミアルが高周波成分の近似に適していないことが原因である。
そこで本論文では、三角関数多項式を用いた新しいグラフフィルターを提案したTrigoNetを紹介した。TrigoNetは、三角関数多項式によりバンドパスフィルターを高精度に近似でき、その結果GNNの性能を大幅に向上させることができる。さらに、テイラー展開を用いることで、計算コストを大幅に削減している。
実験では、11のデータセットでTrigoNetが従来手法を大きく上回る性能を示し、大規模データセットでも高い効率性を維持することを確認した。また、ハイパーパラメータの感度分析などの詳細な検討も行っている。
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