本論文では、衛星搭載分光器の機器分光応答関数(ISRF)の正確な推定が重要であることを示している。ISRFは分光器の光学系や検出器の特性によって決まり、高精度な気体濃度推定に不可欠である。
現在、parametric モデルが広く使われているが、実際の ISRF の多様な形状を十分に表現できないという課題がある。
そこで本研究では、スパース表現に基づく新しい ISRF 推定手法「SPIRIT」を提案した。SPIRIT では、分光器ごとに構築した辞書を用いて ISRF をスパース表現する。
6つの異なる分光器のデータを用いた実験の結果、SPIRIT は parametric モデルと比べて大幅に高い推定精度を示し、ほとんどの場合で1%未満の正規化誤差を達成した。
特に、MicroCarb分光器のように ISRF が観測シーンに依存して変化する場合でも、SPIRIT は優れた推定性能を発揮した。
以上より、SPIRIT は衛星搭載分光器の ISRF 推定に非常に有効な手法であることが示された。
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