本研究は、行列節と相対節における弱い交差性の性質の違いを明らかにした。先行研究では、英語において、様々な非構造的要因を排除すると、行列節の弱い交差性は完全に拒否されるが、相対節の弱い交差性は多くの場合許容されることが示されていた。しかし、英語では語順の違いが影響している可能性があった。そこで本研究では、語順の違いがない日本語を用いて実験を行った。
その結果、行列節と相対節の弱い交差性の違いは語順ではなく構造的な要因によるものであることが示された。行列節の弱い交差性は構造的要因によって決まるが、相対節の弱い交差性は構造的要因以外の要因によって許容されることが明らかになった。
このことから、行列節と相対節の構造的な違いを予測する理論、例えば Bekki (2023)のような理論が支持される。一方で、相対節の弱い交差性がどのような要因によって生じるのかは今後の課題として残されている。
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