非理想測定CT(NICT)は、最適な撮像条件を犠牲にすることで、新しい利点を得ることができるCT撮像技術である。しかし、撮像条件の低下により画質も低下し、臨床での受け入れが極めて限られている。これまでの研究では深層学習によるNICT画質向上の実現可能性が示されてきたが、大量のデータコストと汎用性の低さが大きな障壁となっている。
本研究では、画像基盤モデルTAMPを提案した。TAMPは、物理駆動の大規模シミュレーションデータセットを用いて事前学習されており、様々な非理想設定(低線量CT、sparse-view CT、limited-angle CT)と体領域(頭部、胸部、腹部、下肢)のNICT画像を直接的に向上させることができる。さらに、少量のデータでの適応学習により、特定の非理想設定や体領域に対して高性能な画質向上を実現する。
TAMPの大規模事前学習と少量データ適応学習により、NICT画質向上技術の開発効率と臨床受容性が大幅に向上する。具体的には、1) TAMPは27種類の非理想設定と体領域のタスクで比較手法を上回る性能を示し、非理想CTの普遍的な画質向上を実現した。2) TAMPは5スライスのデータでも比較手法の20症例分のデータを上回る性能を示し、特定のNICT画質向上タスクへの効率的な適応を実現した。3) 放射線科医による主観評価実験では、TAMPとその適応モデルTAMP-Sが非理想CT画像の主観的画質と臨床受容性を大幅に向上させることが示された。
以上より、TAMPは非理想CT撮像技術の探索と応用を促進し、より広範な医療シナリオに貢献する強い可能性を示した。
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