本稿は、共有資源、すなわち「共有地」の効率的な利用を規制するための新しい枠組みを提案しています。従来の「自己所有権」の概念、つまり「労働の成果は労働者自身のもの」という考え方を基に、個人タイプの違いを考慮しながらも、公平な資源分配を実現することを目指しています。
共有地における自己所有権の概念は、各個人が自分の貢献度に応じて資源の分配を受けるべきであるという考え方を示唆しています。しかし、現実には、個々の貢献度を明確に切り分けることは困難です。
本稿では、この問題に対して、自己所有権の概念を「タイトな保証」という形で再解釈することを提案しています。これは、各個人が受け取る資源の量に、他の個人のタイプの影響を最小限に抑えながら、上限と下限を設けるというものです。
タイトな保証は、共有地の利用を記述する関数Wを用いて定義されます。関数Wは、各個人のタイプを入力とし、共有地から得られる利益または費用を出力する関数です。
本稿では、関数Wがスーパーモジュラー関数またはサブモジュラー関数である場合に、タイトな保証を導出するための一般的な結果を示しています。さらに、これらの結果を、公共施設の費用分担、生産関数の共有、施設の立地など、具体的な経済学的問題に適用し、その有効性を示しています。
タイトな保証の枠組みは、共有地の利用に関する交渉や資源分配ルールを設計する上で、以下の2つの点で重要な意味を持ちます。
本稿は、共有地の利用を規制するための新しい枠組みとして、タイトな保証の概念を提案し、その理論的な基礎を与えています。さらに、具体的な経済学的問題への応用を通じて、その有効性を示しています。
本稿では、関数Wがスーパーモジュラー関数またはサブモジュラー関数である場合に限定して、タイトな保証の導出について議論しています。より一般的な関数Wに対して、タイトな保証を導出するための方法を開発することが、今後の課題として挙げられます。
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