本論文は、標準ピンホールカメラ(SPC)の光学モデルにおいて、出射瞳の位置が重要な役割を果たすことを示している。
まず、SPCの光学系を厚レンズモデルで表現し、出射瞳の位置を考慮した再焦点化モデルを導出した。この新しいモデルは、出射瞳を無視した従来モデルと比べて、再焦点化距離の推定精度が大幅に向上することを示した。
次に、出射瞳を無視した場合の誤差を数式的に分析し、その誤差が主レンズの焦点距離や物体距離に依存することを明らかにした。実際のカメラレンズのデータを用いた分析から、出射瞳と主レンズ主平面の距離が無視できない場合が多いことが分かった。
さらに、従来のSPC校正手法[7][12][13]では出射瞳を無視しているが、その影響は限定的であることを示した。一方、再焦点化距離の推定モデル[9]では、出射瞳を無視することで誤った解釈が生じることを指摘した。
最後に、提案モデルと従来モデルの差異を検証するため、Blenderを用いたレイトレーシングシミュレーションを行った。その結果、出射瞳を考慮した提案モデルが従来モデルよりも高精度であることを確認した。
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