本論文では、OCT画像の網膜層分割において、網膜の曲がりや構造変化に対応するため、新しいデータ拡張手法を提案した。
まず、数式駆動型データ拡張(FDDA)を提案した。FDDAは、OCT画像の各列を数式に基づいて垂直方向にシフトさせることで、様々な網膜構造を模擬する手法である。ゼロ次、一次、二次の関数を組み合わせることで、網膜の位置、傾き、曲率を変化させることができる。
次に、部分的な網膜層コピー(PRLC)を提案した。PRLCは、網膜層の一部をコピーし、網膜層以外の領域に貼り付けるデータ拡張手法である。これにより、網膜層に似た構造が誤検出されるのを防ぐことができる。
実験では、FCBR法とSASR法に提案手法を適用し、網膜の平坦化を行わずに網膜層境界を検出できることを示した。MSHC データセットとDuke DMEデータセットを用いた実験の結果、提案手法を導入することで、平坦化を行った場合と同等以上の精度で網膜層境界を検出できることが分かった。
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