本論文では、フロリー・ヒューギンス自由エネルギーポテンシャルを持つカーン・ヒルアード・ナビエ・ストークス(FHCHNS)系に対する2次精度の完全離散有限差分スキームの収束解析を行っている。
まず、このスキームは位相変数の正値性保存性と全エネルギー安定性を理論的に保証することが既に示されている。本論文では、このスキームの2次精度の最適収束率を証明する。
FHCHNS系は強く結合した系であるため、標準的な誤差評価では結合項に関する誤差を適切に扱えない。そこで、位相変数に対するℓ∞(0, T; H1
h) ∩ℓ2(0, T; H3
h)誤差評価と、速度変数に対するℓ∞(0, T; ℓ2)誤差評価を行う。
さらに、対数関数の高い非線形性と特異性により、数値解と特異点±1との距離を一様に抑えることが必要となる。そのため、高次の漸近展開と粗い誤差評価、精密な誤差評価といった非標準的な手法を駆使して、最適収束率を導出している。
これは、特異エネルギーポテンシャルを持つカーン・ヒルアード・ナビエ・ストークス系に対する最初の最適収束率解析となる。
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