ラムゼー理論は、十分に大きなシステムであれば、いかに無秩序に構成されていても、何らかの構造を持つ部分システムを含むことを主張する、組合せ論の一分野である。その代表的な定理であるラムゼーの定理は、完全グラフの辺をどのように2色に塗り分けても、単色の完全部分グラフが存在することを保証する。
対角ラムゼー数r(k)は、完全グラフの辺を2色に塗り分けた際に、単色の大きさkの完全部分グラフ(Kk)が必ず出現するような、最小の頂点数Nを表す。r(k)の正確な値を求めることは、kが小さい場合を除いて非常に困難であることが知られている。
ErdősとSzekeresは、r(k)の上限を証明する際に、ブックグラフと呼ばれる構造を用いた。ブックグラフBt,mは、大きさtの完全グラフKtと、Ktの全ての頂点に隣接するm個の頂点(ページと呼ばれる)からなる。彼らは、完全グラフの2色彩色において、十分大きなブックグラフが存在することを示すことで、r(k)に対する上限を導出した。
彼らの証明は、探索アルゴリズムとして解釈することもできる。このアルゴリズムは、グラフの頂点集合を、赤のブックグラフ(A, X)と青のブックグラフ(B, X)を構成するように分割していくことで、最終的に単色のKkを発見することを目指す。
Campos、Griffiths、Morris、Sahasrabudheは、Erdős–Szekeresのアルゴリズムを改良した、新しいブックアルゴリズムを提案した。このアルゴリズムでは、頂点集合をA, B, X, Yの4つの集合に分割し、(A, X)と(B, X)がそれぞれ赤と青のブックグラフ、(A, Y)が赤のブックグラフとなるように維持する。
アルゴリズムは、XからAまたはBに頂点を移動させながら、XとYを縮小していくことを繰り返す。この際、XとYの間の赤い辺の密度pを重要なパラメータとして監視する。
ブックアルゴリズムは、従来の手法では困難であった、より大きなスパインを持つブックグラフを発見することができる。これは、密度ブーストステップと呼ばれる新しいステップを導入することで実現されている。密度ブーストステップでは、pを増加させるために、XとYを戦略的に縮小する。
ブックアルゴリズムの分析により、r(k)に対する従来の上限を改善する、新しい上限を得ることができる。これは、密度ブーストステップの効果を分析することで得られる。
ブックアルゴリズムは、ラムゼー理論におけるブレークスルーであり、対角ラムゼー数の上限に関する長年の未解決問題に、新たな進展をもたらした。
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