Centrala begrepp
p 進微分方程式の de Rham コホモロジーの有限次元性を特徴付け、その指数を境界における解の収束半径の挙動と関連付ける局所指数定理を確立する。
Sammanfattning
この論文は、p 進微分方程式の de Rham コホモロジーの有限次元性を研究し、その指数を境界における解の収束半径の挙動と関連付ける局所指数定理を確立することを目的とする研究論文である。
論文の構成
論文は全4セクションと付録Aで構成されている。
- セクション1:定義と記法
- p 進微分方程式、Berkovich 曲線、擬似三角形分割、収束半径、ニュートン多角形、de Rham コホモロジーなど、論文全体で使用する基本的な定義と記法を導入する。
- 特に、Christol と Mebkhout の定義を拡張し、任意の剰余標数を持つ擬似環の境界におけるセグメントの芽に対して、微分方程式 F の局所不規則性 Irr_b(F) を定義する。
- セクション2:開擬似環上の解析的指数定理
- Robba の一般化指数を、任意の剰余標数を持つ擬似環 C の境界におけるセグメントの芽 b に対して定義する。
- 絶対指数 χ^abs_b(F) を導入し、それが固有の概念であることを証明する。
- 擬似環 C 上の de Rham コホモロジーの有限次元性を特徴付ける結果を述べ、指数を境界における不規則性で表す公式を示す。
- セクション3:有理型特異点を持つ開円板上の微分方程式
- 開円板 D 上で、有限個の剛点集合 Z 上に有理型特異点を持つ可能性のある微分方程式について考察する。
- 有理型 de Rham コホモロジーの有限次元性を特徴付ける定理を証明する。
- セクション4:比較結果
- 有理型特異点の周りにおける形式的、有理型、解析的 de Rham コホモロジーの間の局所比較結果を示す。
- これらの比較結果を用いて、形式的微分加群の圏と、D の開境界における Robba 環上の微分方程式の圏との間の圏同値を証明する。
- 付録A:局所 Liouville 条件
- 指数の概念を扱い、擬似環上およびセグメントの芽上で Liouville 数を持たない微分方程式の概念を定義する。
主要な結果
- 擬似環 C 上の微分方程式 F の de Rham コホモロジーの有限次元性は、F の Robba 部分が C の境界におけるセグメントの芽で Fredholm 性質を満たすことと同値である。
- 開円板 D 上で、有限個の剛点集合 Z 上に有理型特異点を持つ微分方程式 F の有理型 de Rham コホモロジーの有限次元性は、F の Robba 部分が D の開境界におけるセグメントの芽で Fredholm 性質を満たすことと同値である。
- 形式的、有理型、解析的 de Rham コホモロジーの間の比較定理を確立し、特定の条件下でそれらが同型になることを示す。
論文の意義
この論文は、p 進微分方程式の de Rham コホモロジーの有限次元性を特徴付ける問題において重要な貢献をしている。特に、局所指数定理は、Christol と Mebkhout の先行研究を一般化し、任意の剰余標数を持つ擬似環上のより広範な微分方程式に適用できる。また、形式的、有理型、解析的 de Rham コホモロジーの間の比較定理は、これらの理論間の関係を理解する上で有用な情報を提供する。