本研究では、ニューラルネットワークを用いて大規模3Dシミュレーションアンサンブルの物理変数間の統計的依存関係を効率的に表現し、対話的に可視化する手法を提案している。
まず、シミュレーションアンサンブルの各変数間の相関係数や相互情報量などの統計的依存関係を事前に計算する。次に、これらの依存関係を「ニューラルデペンデンスフィールド(NDF)」と呼ばれる効率的な表現形式でエンコーディングする。NDFは、位置間の依存関係を学習するニューラルネットワークモデルであり、従来の計算手法に比べて大幅に高速な依存関係の再構築を可能にする。
可視化では、ユーザが任意の参照点を選択すると、その点と他の点との依存関係をGPU上で即座に再構築し、ボリュームレンダリングによって可視化する。これにより、大規模アンサンブルデータの依存構造を対話的に探索できる。
実験では、1000メンバーの気象予報アンサンブルデータを用いて、提案手法の有効性を示している。NDFは、従来手法に比べて大幅に高速な依存関係の再構築を実現し(最大114,000倍)、メモリ使用量も大幅に削減できる(6,000倍以上)。一方で、細かい依存構造の再現性には課題が残る。今後の研究では、ネットワークアーキテクチャの改善や損失関数の検討などにより、再現性の向上を目指す。
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