本研究は、密度汎関数理論(DFT)における交換相関(XC)汎関数の正確な構築に向けた新しいアプローチを提示する。従来のXC汎関数は、既知の条件を満たすよう設計されてきたが、所望の化学精度には未だ達していない。本研究では、正確な電子密度、XCエネルギー、およびXCポテンシャルを利用してニューラルネットワーク(NN)ベースのXC汎関数を学習する。
具体的には、正確な密度はConfiguration Interaction(CI)計算から得られ、正確なXCエネルギーとXCポテンシャルは逆DFT計算により求められる。この正確な情報を使ってNNベースのLDA(NNLDA)およびGGA(NNGGA、NNGGA-UEG)汎関数をわずか5つの原子と2つの分子のデータから学習する。
その結果、NNGGA汎関数は、総エネルギーの平均絶対誤差が1.9 kcal/molと、より高次の汎関数であるSCANやB3LYPを上回る精度を達成する。また、NNGGA汎関数は、原子化エネルギーや反応障壁高さの精度においても、PBEを大きく上回り、SCANとほぼ同等の精度を示す。これは、訓練時に原子化エネルギーや反応障壁高さを使用していないにもかかわらずである。
このように、正確なXCポテンシャルを利用することで、限られたデータから高精度な汎関数を学習できることが示された。本アプローチは、系統的に精度の高い汎関数を構築する上で有望な道筋を開くものと期待される。
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by Bikash Kanun... : arxiv.org 09-11-2024
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