核心概念
与えられた無向グラフGに対して、各辺に向きを割り当てることで、頂点の最大出次数を最小化する問題を解決するための新しいアルゴリズムフレームワークを提案する。
摘要
本論文では、無向グラフGに対して、各辺に向きを割り当てることで、頂点の最大出次数を最小化する辺向きづけ問題を扱う。
まず、この問題に対する既存のアプローチを概説する。Venkateswaran [29]のアルゴリズムは、幅優先探索を用いて、最大出次数の高い頂点から最大出次数の低い頂点への経路を見つけ、その経路上の辺の向きを反転させることで、最大出次数を逐次的に減らしていく。また、流れベースのアプローチ[2, 24]も提案されている。
次に、著者らは、Venkateswaran [29]のアルゴリズムに着想を得た新しいアルゴリズムフレームワークを提案する。このフレームワークでは、単純な経路の発見と操作に基づいて問題に取り組む。具体的には、以下のような工夫を行う:
- 初期の向きづけを高速に改善する"FastImprove"アルゴリズムの導入
- 深さ優先探索に基づく経路発見アルゴリズムの最適化(訪問済み頂点の共有、先行層の積極的探索など)
- 2-近似アルゴリズムによる前処理の導入
これらの工夫により、著者らの提案手法は既存手法と比べて大幅な高速化を実現している。特に、道路ネットワークや数値計算分野のグラフなど、低密度かつ低最大出次数のグラフに対して顕著な性能改善が見られる。一方で、高密度かつ高最大出次数のグラフに対しては、既存手法が若干優位となる。
統計資料
提案手法は既存手法と比べて平均6.59倍高速である。
道路ネットワークや数値計算分野のグラフでは、提案手法が既存手法の1/10以下の計算時間で解を得られる。
高密度かつ高最大出次数のグラフに対しては、既存手法が若干優位となる。
引述
"An ongoing challenge in edge orientation algorithms is their scalability, particularly in handling large-scale networks with millions or billions of edges efficiently."
"Our experiments demonstrate significant performance improvements compared to state-of-the-art solvers. On average our algorithm is 6.59 times faster when compared to the state-of-the-art."