核心概念
Floyd-Warshallアルゴリズムの単純な変形バージョンを実行すると、正しいAPSP行列を計算できないが、その問題は非自明な困難性を持っている。
摘要
本論文では、Floyd-Warshallアルゴリズムの標準的な実装とは異なる変形バージョンを考察する。このバージョンは、ループの順序を変更したものであり、正しいAPSP行列を計算できない。
しかし、この「誤った」実装にも非自明な性質が存在する。まず、この変形バージョンを用いて計算された行列は、特定の条件を満たす経路の最小コストを表していることが分かる。さらに、この問題は標準的なAPSP問題と計算量的に同等であることが示される。つまり、この変形バージョンの問題を効率的に解くことができれば、APSPの高速解法にもつながる可能性がある。
具体的な結果は以下の通り:
- 変形バージョンの問題を、単一始点最短経路問題とダイナミックプログラミングを組み合わせて解くアルゴリズムを提案し、APSPと同程度の計算量で解くことができる。
- 変形バージョンの問題とAPSP問題が計算量的に同等であることを示す。つまり、どちらかの問題に対して高速アルゴリズムが見つかれば、もう一方の問題にも高速アルゴリズムが存在することが分かる。
このように、単純な変更を加えただけで、非自明な性質を持つ問題が生まれることを示しており、アルゴリズムの理解を深める上で興味深い知見となっている。
統計資料
A =
[
[0, ∞, ∞, ∞],
[∞, 0, ∞, 1],
[1, ∞, 0, ∞],
[∞, ∞, 1, 0]
]
M1 =
[
[0, ∞, ∞, ∞],
[3, 0, 2, 1],
[1, ∞, 0, ∞],
[2, ∞, 1, 0]
]
M2 =
[
[0, ∞, ∞, ∞],
[∞, 0, 2, 1],
[1, ∞, 0, ∞],
[2, ∞, 1, 0]
]