本論文では、単一アイテムのオークションにおいて、売り手が偽の入札を行うことで落札価格を操作することを防ぐオークション形式について分析している。
まず、強い意味での偽の入札防止オークションについて検討する。強い意味での偽の入札防止オークションとは、売り手が入札者の値付けを完全に知っていても、偽の入札をすることで利益を得られないオークションである。分析の結果、オランダオークション(適切な最低価格設定付き)が唯一の強い意味での偽の入札防止かつ最適なオークションであることが示された。
次に、弱い意味での偽の入札防止オークションについて検討する。弱い意味での偽の入札防止オークションとは、偽の入札をすることで期待利益が非正の値となるオークションである。分析の結果、オランダオークション(最低価格なし)が、効率的かつ弱い意味での偽の入札防止オークションの唯一の事前独立オークションであることが示された。
また、最適性、戦略的真実性、弱い意味での偽の入札防止の3つの性質を同時に満たすオークションは一般に存在せず、最大2つの性質しか満たすことができないことが明らかになった。
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