核心概念
本稿では、過去の稼働データがない場合でも、アプリケーションの類似性を利用してリソース割り当てを予測し、サーバーレス環境における関数の実行を最適化するフレームワーク「SLOPE」を提案する。
摘要
サーバーレスコンピューティングにおけるリソースプロビジョニングの最適化:SLOPEフレームワークの紹介
本論文は、サーバーレスコンピューティング環境におけるリソースプロビジョニングの課題を取り上げ、新たなフレームワーク「SLOPE」を提案する研究論文である。
サーバーレスコンピューティング、特にFunction as a Service (FaaS) は、スケーラビリティと費用対効果の高さから注目を集めている。しかし、必要なときにのみコンテナが起動されるため、コールドスタートによるレイテンシが発生する点が課題として挙げられる。従来のコンテナ最適化や予測手法では、動的なワークロードへの対応や事前に知識がない場合の対応が不十分であった。
SLOPEは、ニューラルネットワークを用いてリソースの量と構成を予測し、ワークロード完了時間(WCT)を最適化することで、サービスレベル目標(SLO)の達成を目指すフレームワークである。
SLOPEの主な特徴
ニューラルネットワークによる予測: 過去の稼働データから、CPUやメモリ使用量、リクエストレートなどの情報を学習し、最適な関数レプリカ数とコンテナ構成を予測する。
アプリケーションの類似性に基づく予測: 過去のデータがない新規アプリケーションの場合、類似するアプリケーションのコールグラフをGraph Edit Distance (GED) を用いて比較することで、リソース要件を推定する。