核心概念
視覚障害者ソフトウェア開発者の昇進には、技術的な課題、同僚の認識、自身の管理職への意識、職場のアクセシビリティへの取り組みが影響する。
摘要
本研究は、視覚障害者ソフトウェア開発者(BLVSP)の昇進に影響する要因を明らかにしている。
- 技術的な課題:
- ソフトウェア開発ツールのアクセシビリティ・使いやすさの問題により、会議などの協働作業への十分な参加が困難になる
- ハードウェアやコラボレーション実践の非アクセシビリティも課題となる
- 調達プロセスにアクセシビリティが組み込まれていないことも問題
- 同僚の認識:
- 視覚障害者に対する偏見や誤解が蔓延しており、昇進の障壁となる
- 管理職になることで、より発言力を持ち、アクセシビリティの改善に取り組めるが、管理職に視覚障害者が少ない
- 視覚障害者がアクセシビリティ部門に集中させられる傾向がある
- 自身の管理職への意識:
- 管理職の会議中心の業務が自身に合わないと考える者もいる一方で、管理職の方が会議がアクセシブルだと考える者もいる
- 技術職にとどまりたい、または管理職を目指す意向は個人差が大きい
- 職場のアクセシビリティへの取り組み:
- 自身の職場のアクセシビリティを高めるのに多大な時間と労力を要する
- 蓄積した職場のアクセシビリティを失したくないため、他の職場や組織への異動を躊躇する
以上の4つの要因が、視覚障害者ソフトウェア開発者の昇進に影響を及ぼしていることが明らかになった。
統計資料
視覚障害者は全体の27.8%を占めるが、ソフトウェア開発者の1.7%しか視覚障害者ではない。
視覚障害者ソフトウェア開発者は、会議での発言や貢献ができず、「静かな人」と見なされがちである。
管理職に視覚障害者が少ないため、視覚障害者が管理職に昇進することは困難である。
引述
"もし私が視覚障害者ではなかったら、アクセシビリティに関心はなかったでしょう。自分のために知らなければならないので、アクセシビリティに関わっているのです。でも、他の話題や他のプロジェクトにも関わりたいのです。"
"管理職になれば、人々は自然とアクセシビリティに配慮するようになるでしょう。グラフを使わなくなるかもしれません。私のために特別に配慮してほしいわけではありません。でも、上司の立場になれば、人々は自然と私に合わせてくれるはずです。"