核心概念
ファットパイプネットワークにおいて、量子アニーリングコンピューターで実行可能な集中型ネットワーク制御アルゴリズムを提案し、バースト性のあるトラフィックに対して、リソースの再割り当てによりトラフィック損失を大幅に削減できることを示す。
摘要
本研究では、ファットパイプネットワークの中央集権型ネットワーク制御アルゴリズムを提案している。このアルゴリズムは、既存の量子アニーリングコンピューターで実行可能なように設計されている。
提案するアルゴリズムには以下の特徴がある:
- ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)により得られる中央集権的なネットワーク状態情報を活用する。
- 秒単位のタイムスケールで観測されるネットワークトラフィックの正規分布特性を考慮する。
- 整数線形計画(ILP)問題としてモデル化し、量子アニーリングコンピューターで解くことができる。
- 長期的な視点での光ネットワークリソースの最適化と、短期的な視点でのキューの長さを考慮したトラフィックエンジニアリングの2段階最適化を行う。
提案アルゴリズムの性能を評価するため、ファットパイプネットワークのチャンク単位のフローシミュレーションモデルを開発した。シミュレーション結果から、提案手法によりバースト性のあるトラフィックに対してトラフィック損失を2倍削減できることが示された。これにより、ネットワークの過剰な余裕を減らし、ゼロマージンネットワークに向けた新しい運用方式を実現できる。また、大規模ネットワークでの適用が量子コンピューティングにより可能になると考えられる。
統計資料
ネットワークの総トラフィック損失は、リソース再割り当てを行う場合、リソース割当てのみの場合に比べて約2倍削減された。