核心概念
本論文は、極端な環境温度下におけるリチウムイオン電池の高速充電と能動的熱管理のための統合制御戦略を提案する。制御指向の熱-NDC (非線形二重キャパシタ) バッテリモデルを提案し、外部熱源と環境温度の影響を考慮する。状態フィードバックモデル予測制御アルゴリズムを開発し、高速充電と能動的熱管理を統合する。数値実験により、提案アルゴリズムが極端な温度下でも電力効率的に温度を調整し、高速充電を実現できることを示す。さらに、状態が部分的に測定可能な場合のための出力フィードバックMPCアルゴリズムも提案する。
摘要
本論文は、リチウムイオン電池の高速充電と能動的熱管理のための統合制御戦略を提案している。
まず、制御指向の熱-NDC (非線形二重キャパシタ) バッテリモデルを提案した。このモデルは、電気的・熱的ダイナミクスを記述し、外部熱源と環境温度の影響を考慮する。
次に、この熱-NDCモデルに基づいて、状態フィードバックのモデル予測制御(MPC)アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、高速充電と能動的熱管理を統合する。
数値実験により、提案アルゴリズムが極端な温度下でも電力効率的に温度を調整し、高速充電を実現できることを示した。特に以下の点が明らかになった:
- 提案アルゴリズムは、高速充電と温度管理のバランスを取ることができる。
- 高温環境下では、能動的な冷却が重要となる。
- 低温環境下では、適切な加熱により充電速度を向上できる。
- MPCの予測horizon長が長いほど、最適な充電・温度管理戦略を見出せる。
さらに、状態が部分的に測定可能な場合のための出力フィードバックMPCアルゴリズムも提案し、その有効性を示した。
統計資料
充電時間は3000秒前後を実現できる
充電効率は40-80%程度を達成できる
計算時間は20-60ミリ秒程度